• テキストサイズ

蝶と蜘蛛

第22章 観光二日目


浅草を存分に満喫し、私達は着物のままスカイツリーへ。
シャチのいる水族館はさすがに少し遠いのでスカイツリーの麓にある小さな水族館に入ることにした。

そして水族館から出た頃にはもう夕方に。
最後は尽八の要望でスカイツリーに登ることになっていた。
 
チケットを購入し、案内をされエレベーターへと乗り込む。
展望デッキへ到着すると、あたりが夕陽でオレンジ色に染まる壮大な景色が広がっていた。

『わー!凄いですね!』
「あぁ、これは圧巻だな!」
「これは、最高ショ」

各々が感想を言い合いしばらくその景色に見惚れていると、こちらに荒々しい声が近づいてくる。
何かと思い3人同時に振り向くと、見覚えのある顔があった。

「やっぱり東堂じゃねーか!」
「んなっ!?荒北!?」
「よぉ尽八。おめさんたちも観光か?」

そこに立っていたのは箱根学園の荒北さん、新開さん、福富さんだった。
まだ箱根に住んでいた頃、尽八のレースを観に行った際に何回か会った事はある。

「あれぇ?富永ちゃんに総北の巻島までいるじゃナァイ!」
『お久しぶりです…荒北さんに新開さん、それに福富さん』
「ヒュウ!茉璃ちゃん、覚えていてくれたんだね!着物似合ってるよ、なぁ寿一」
「あぁ。」
『ありがとうございます』

私が新開さんにお礼を言うと、尽八のいつものが始まった。

「なぁなぁ、俺はどうだ?まぁ、この美形だからなぁ!なんでも似合ってしまう!周囲の女子たちの視線が俺に集まってしまっているな!」
「集まってねーヨ」
「いーや、集まっている!ここにいる女子全員の視線がな!」
「騒がしいから見てるだけだろ」
「ワーッハッハッハ!仕方のない事だ!登れる上にトークも切れる!そしてこの美形!天はオレに三物を与えた!」
「るっせぇヨ」
「そう僻むな荒北」
「僻んでねーヨ!!」

少々騒がしくなったその集団を一歩引いて眺めていると、後ろからトントンと肩を叩かれる。

『どうしました?巻島さん』

私が尋ねると巻島さんは自身の口元に人差し指を当てながら私の手を引き、騒いでいる箱学の4人に気付かれないようにその場を離れた。
/ 151ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp