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蝶と蜘蛛

第21章 観光一日目


「テーマパークを楽しむ為の心得その3。テーマパーク特有のスリルを味わうショ」

巻島さんに連れられてやってきたのはフリーフォール型のアトラクションだ。
待ち時間はそこまで長くなく、結構すぐに乗り込むことができるようだ。
尽八と巻島さんはノリノリで列に並ぶ。
それに反し、私はというと恐怖で手汗が酷い。
元々暗いところや絶叫系の乗り物は得意ではない。

「そういえば茉璃は昔、こういう系が苦手だったな。大丈夫か?」

そう気を遣って言ってくれる尽八や心配そうにこちらを覗き込む巻島さんを見て、ここでやめるとは言えない。

『大丈夫…たぶん…』

自信なさげにそう呟くと、2人は私の目の前に手を差し出す。

「俺らがちゃんと付いている」
「俺らにつかまってれば怖くないショ」

私は2人の手を握り締めアトラクションへと乗り込んだ。



アトラクションに乗ったり、パレードを観たりと夢の国を満喫しているとすっかり辺りが暗くなってきていた。

もうそろそろ帰る時間だろう。
しかし、私はどうしても乗りたいアトラクションが一つあった。
それはゴンドラに乗りパーク内の景色を満喫できるというものだ。
辺りが暗くなってきている今の時間なら夜景を楽しむにはもってこいだろう。

そして、夜景を楽しむ以外にも私には目的があった。
それはゴンドラで遊覧中に通る橋の下、そこで願い事をすると叶うというジンクスがあるからだ。

『私、最後にゴンドラ乗りたいんですけど、いいですか?』
「あぁ、もちろん構わんよ」
「ダメなわけないショ。」

私は2人を連れてゴンドラに乗り込んだ。
パーク内の夜景を満喫していると、ついに目的だった橋の下に到着した。
ガイドの人が願い事をするよう促すと、巻島さんも尽八も一瞬何か迷ったように見えたが、その後真剣に何かをお願いする。

(来年の新入部員、クライマーが入ってきますように…それから…どうか、この恋が叶いますように…)

急いで私も願い事をし、目を開けると目の前に座っている巻島さんと尽八が私の方をジッと見つめていた。

「そんなに真剣に、なにを願っていたのだ?」
「気になるショ」
『な、内緒です』

そんな話をしていると、あっという間に終着点だ。
私達はゴンドラを降り、出口へと向かった。
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