第21章 観光一日目
観光1日目は定番テーマパークへ行くことにした。
「テーマパークを楽しむ為の心得その1!日常を忘れるべし。これさえつければ誰しも夢の国の住人だ!」
そう言って尽八が取り出したのは、テーマパークキャラクターのカチューシャだった。
「別に住みたくはないショ…」
「俺と巻ちゃんはこの男子用ソーサラー丸耳カチューシャにしよう!そして茉璃はこっちの女子用リボン丸耳カチューシャだ!」
尽八は巻島さんの言葉をスルーして、さっさと人のカチューシャまで決めていく。
かと思うと、Tシャツを指差しはしゃぎながら私と巻島さんを連れて行く。
完全に引いた表情の巻島さんだったが、結局は揃いのTシャツと先程選んだカチューシャを買うことになった。
一旦着替えにトイレに入り、また合流するとすでに自分と同じTシャツをきた2人が待ってくれていた。
お揃いのTシャツというのはなんだか小っ恥ずかしいが、さすがは夢の国。
すぐにその世界に溶け込み気にならなくなる。
「テーマパークを楽しむ為の心得その2!時は全て一瞬…ならばその一瞬を忘れないように、心に…そして写真に刻もう!」
「写真まで撮るのかよ…俺はシャッター係でいいショ」
「何を言っているのだ巻ちゃん!ならん!ならんよ!巻ちゃんも写らねば意味がないではないか!」
そういうと尽八はそばにいた見知らぬ女の子に声をかけ、カメラを渡す。
後で確認した巻島さんの顔はとても嫌そうな顔をしていたが、パーク内を回りながら沢山の写真を撮っているうちにだんだんと慣れてきたようで自然な笑顔の写真も増えていた。