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蝶と蜘蛛

第86章 坂道の先に


喜びの余韻の中でも仕事は続く。
小野田くんは記者に囲まれ、私たちは撤収作業に取り掛かっていた。

私もその一角で荷物の整理をしていると、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

「お疲れさん。よく頑張ったショ」

振り返るとそこには裕介さんが立っていた。
その後ろには金城さんと田所さんが純太たちと楽しそうに話している。

次々と飛び交う声に私も思わず微笑んだ。

「あいつら、いい顔してるショ」

そう言う裕介さんの顔は嬉しそうに見えるがどこか切ない。

『あー、小野田くんなら…』
「すみません、総北高校の方いらっしゃいますか?」
言いかけた瞬間、大会本部のスタッフがこちらへ駆け寄ってくる。

「本部で確認したいことがあるのですが…」
『わかりました、すぐ行きます!…ちょっと行ってくるね』
「あぁ…いってらっしゃい…ショ」

裕介さんの切ない表情がなんだか気になるが、私は持っていた工具箱を置き、その場を離れた。
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