• テキストサイズ

蝶と蜘蛛

第85章 揺れる心と押す背中


小野田くんが買ってきてくれた飲み物を飲み干すと、私たちは自然と帰りの支度を始めた。

「んじゃ、戻るわ。」

裕介さんはロードに跨り、ヘルメットをかぶる。
近くのファミレスで金城さんと田所さんを待たせているらしい。
よく見ると、裕介さんの乗っているロードもジャージも金城さんのものだった。

短い再会が終わろうとしていることに、小野田くんも尽八もどこか切なげな表情をしている。

「じゃあな。坂道、東堂」
「あ、はい!」
「あぁ、巻ちゃん」

私も一緒に見送ろうとすると、裕介さんが私に声をかけた。

「茉璃、一緒に来い」
『え?』
「少し一緒に走るショ」

その言葉に慌ててロードに跨る。
尽八と小野田くんに別れを告げ、急いで裕介さんを追いかけた。

/ 357ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp