第11章 君と初めての峰ヶ山(巻島目線)
坂を登り始めると流石に女の子相手に全開はないだろうとゆっくりめに走る。
すると彼女は少し不満そうな顔をしながら言う。
『あの、巻島さん。私に気を遣わずに行っていただいて大丈夫ですよ?ついていけるところまではついて行きますが、これじゃ巻島さんのお邪魔になってしまってるのでは…それに、私巻島さんダンシングがもう一度見たいんです!』
「クハッ。俺のダンシングをか?」
『はい!あのダンシング唯一無二でとてもカッコ良かったので』
(俺のダンシングがか?普通そこはカッコ良かったじゃなくて気持ち悪かったって言うところショ。)
彼女の言葉が嬉しくて、ついニヤけてしまう顔を見せないように一気にダンシングで加速する。
(やっべ。流石にやりすぎたか?ちぎれちまったんじゃ…)
と、速度を落とそうとしたその時。
俺は愕然とした。
彼女が俺の加速についてきていたのだ。
しかも、俺が加速した時、彼女がついてきている気配や音が全くしなかった。
これじゃあまるで…
東堂のスリーピングクライム。
(どういうことなんだ…?いや、今はそんなことはどうでもいい。なんか、面白くなってきたッショ!!)
俺はこれから聞かなくてはいけないこともすっかり忘れ、ただただ富永との走りを楽しんだ。
(やべー。超楽しいショ!この時間が永遠と続きゃあいいのにな…)
そんなことを考えているとあっという間に頂上に到着した。