第77章 最後の時間(巻島目線)【裏あり】
部屋へ着くと俺はベッドへ腰をかけて隣に座るよう促した。
素直にちょこんと横に座る茉璃の肩に手を伸ばし、肩にかかる髪をそっと撫でる。
俺の指が不意に首筋に触れた時、茉璃の体が少しだけ反応したのを感じる。
「暑いか?」
『ううん、ちょっと…ドキドキしてる、だけ』
俺はそっと息を吐いた。
ドキドキは俺も同じだ。
いつの間にか膝が触れ、距離はどんどん縮まる。
目をそらすことも出来ない。
でも、無理に見つめ続ける必要もない。
言葉がなくても、心の奥でお互い全てわかってしまう。
「イギリス…行きたくなくなるショ」
『…うん』
その返事だけで2人の間に甘い静寂が流れる。
息が触れそうな距離で、心臓の音だけはっきり聞こえた。
俺はそっと茉璃の髪に手を伸ばし、耳の後ろに指をかける。
茉璃は微かに身を寄せる。
その小さな仕草だけで胸がいっぱいになった。
「ずっと…こうしていられたらな…」
『そうだね』
声を重ねる必要もなく、言葉は少しずつ消えていく。