第76章 最後の時間(巻島目線)
母さんの作った料理を4人で囲んだ。
母さんはよく喋り、父さんは穏やかに頷いていた。
俺は黙って橋を動かしながら、隣の茉璃が時折見せる笑顔を盗み見ていた。
あの笑顔を、どれだけ見ても飽きないと思った。
食事を終え、キッチンで母さんと茉璃が楽しそうに洗い物をしていると、父さんが俺の横に静かにやって来る。
「裕介にまさかあんな可愛くていい彼女ができるなんてな」
「そうだな…」
「お前、茉璃ちゃんのこと、見過ぎだぞ」
「う、うるせェショ!!!」
父はからかうような顔をこちらに向けた後、キッチンの2人へと視線を戻す。
「大切にしてあげなさい」
「わかってるショ」
そう答えると父さんは荷物を取りに自室へと戻っていった。