第73章 親友へ(巻島目線)
手伝いを終えた東堂が境内の方から何か考えながら出て来る。
「よっぽどの話か」
そうハッとしたような目線を俺に向ける。
「アァ…つまり…そういうことだ。」
周りには人も大勢いて祭囃子に賑わっているのに心臓の音だけが鳴り響く。
俺は田所っちに名早大に行くと嘘をついていた。
そして、茉璃はきっと東堂にすら俺の進学先を話さず隠してくれているのだろう。
東堂は俺と同じチームメイトになってともに伝説を作ろうと語ってくれた。
でもそれはもう叶わない。
「今日はお別れを言いに来た」
その言葉に東堂は絶句する。
首元に巻いていたタオルがするりと落ちる。
「どこ…へ、行く…?」
「ちょっと遠い。もう、一緒には走れねェ。…イギリスだ。9月から」
その言葉と同時に夜空に大きな花火が打ち上がる。
「本当に今まで…一緒に走ってくれて…3年間。東堂…いや…尽八。ありがとう、ショ」
東堂の目には一筋の涙が零れ落ちる。
「バカヤロウ。少なくともその話、3分で終わる話じゃない」