第10章 あなたと初めての峰ヶ山
私は支度を終えるとロードに跨り巻島さんを待つ。
程なくして巻島さんも支度が終わったようでロードのサドルに片手を添えてこちらに向かってくる。
「じゃあ、行くショ」
そう言ってロードに跨り、走り出した巻島さんの後ろについて峰が山に向かう。
峰ヶ山の麓に着き、坂を登っていると巻島さんが私を気遣うようにゆっくり走ってくれていることがわかった。
『あの、巻島さん。私に気を遣わずに行っていただいて大丈夫ですよ?ついていけるところまではついて行きますが、これじゃ巻島さんのお邪魔になってしまってるのでは…それに、私巻島さんダンシングがもう一度見たいんです!』
「クハッ。俺のダンシングをか?」
『はい!あのダンシング唯一無二でとてもカッコ良かったので』
私の言葉に少し驚き、照れた表情をみせた後
「キモいでいいショ」
と呟きながら巻島さんは一気にスピードを上げた。
それに合わせて私もスピードを上げる。
「っ!?お前!それは…!?」
私の走りを見て巻島さんはとても驚いた顔をしていた。
「クハッ。お前なかなか面白い登りショ!」
そう機嫌良さげにこちらに話しかけながら巻島さんはどんどんスピードを上げていく。
私も必死に追いかけるが流石に追い抜くことは難しいようだ。
しかし、巻島さんのダンシングをこんなに近くから見られているのはなんとも嬉しい。
(ずっと、この時間が続けばいいのに…)
そんなことを思っていたらあっという間に頂上に到着してしまった。