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蝶と蜘蛛

第63章 インターハイ2日目


インターハイは着順スタートだ。
先に金城さんが出てそれに続くように今泉くんが出て行く。
他の4人が出るのは金城さんが出てから3分40秒後だ。

タイムキーパーの指示に従い皆がスタートを切る中、田所さんだけがその場に立ち止まった。

(あぁ、嫌な予感はいつも当たるんだ…)


「田所さん、なんかおかしくねェか?」

純太のその言葉に胸がドクンと跳ねた。
言うなと言われた約束が今更重くのしかかる。

純太の問いに答えず下を向くしかできない私の肩を青八木くんは力強く掴み珍しく言葉を発した。

「何か、知ってるのか?」

鋭い目で見つめられ思わず目をそらす。
その沈黙が全てを物語っていたのかもしれない。

『昨日の表彰式の後、倒れてたの…田所さん』

言葉を絞り出すと純太と青八木くんの表情が一瞬で変わった。
驚きと怒り、そして焦りが混じった顔。

「なんで黙ってた!」

そう叫ぶと2人は迷うことなく走り出した。
まっすぐ、坂を駆け上って行ったはずの田所さんの元へ。

私はその2つの背中を見送りながら胸の奥で祈るように呟いた。
どうか、無事でいてほしいと。
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