第45章 1年生ウエルカムレース
いよいよウエルカムレース、山岳賞の勝敗が決するときがきた。
おそらく山が苦手であろう鳴子くんを追い抜き小野田くんは現在今泉くんと並んで先頭を走っている。
今泉くんも小野田くんも相当なペースで走り続けている。
残るは700m。
ジリジリと離されていた差を小野田くんは一気に詰め今泉くんに追いついた。
「っ!?」
「何ぃ!?」
「小野田くん!」
「何!?何やった!?」
『ケイデンスを…もう30回転…あげた?』
「ド、ドリームっショ…」
私の言葉に車内が騒然とする。
ついに残りは500m。
ここからが恐らく勝負所だろう。
しかし小野田くんにはクライマーとして技術的な欠点がある。
今日初めてロードレーサーに乗ったであろう小野田くんにはダンシングはできないだろう。
そうなると最後の勝負に勝つことは難しい。
ついに今泉くんがダンシングをし前へ飛び出る。
すると驚いたことに小野田くんもギアを3枚あげ、ダンシングを始めたのだ。
「小野田が…立った!!!」
車内は再び騒然となる。
そしてついに峰が山の山頂が見えた。
「峰が山山頂よ!決まる!」
「残り250!」
「いけ!」
『小野田くん!』
2人とももう山頂しか見ていない。
残り200m。
「いけっショ!小野田ァァ!!」
珍しく裕介さんが大きく声をあげ小野田くんを応援する。
私はなんだかその姿を見て喜びで涙が溢れそうになった。
しかし、今は泣いている場合ではない。
このウエルカムレースの山岳賞を見届けなければならない。
「残り…100」
『頑張って、小野田くん!』