第33章 2人きりのクリスマス
『お邪魔します』
昨日も来たはずの巻島さんのお宅。
昨日もだいぶ緊張していたが、今日はさらに緊張する。
「こっちショ」
そう言われて案内されたのは巻島さんの部屋だった。
「その、好きなところ座っていいショ。飲み物とってくるショ」
私は巻島さんに言われるがまま部屋床に座り込む。
初めて入った巻島さんの部屋は部屋中から巻島さんの匂いがする。
そんなことを考えているとあっという間に巻島さんが温かい紅茶を持って部屋に戻って来た。
「ほら、これ飲んだら暖まるショ」
『ありがとうございます』
巻島さんの持って来た紅茶を飲んで一息つく。
「…」
『…』
しばらく続いた沈黙に先に耐えられなくなったのは私の方だった。
『あ、あの、そういえばさっきのスノードームと…あとこれ…クリスマスプレゼントです』
私は自身の鞄から小さな箱を取り出し巻島さんに渡した。
「え、俺にか?開けて見ていいか?」
『はい』
巻島さんは嬉しそうに箱にかかっているリボンを開けるとその小さな箱を開け始めた。
私が巻島さんに用意したのはブレスレットだ。
「こ、これって…」
巻島さんが私の左腕を見つめる。
『実は私が今日してるブレスレットとペアなんです』
「ヤベェ…めちゃくちゃ嬉しいショ」
巻島さんはその場でブレスレットを身につけると満足げに自分の左手を眺める。
それからハッとしたように奥のベッドルームから紙袋を持って来た。