第11章 一ヶ月の処分(リクエスト)
「何でもねえよ。ほら、ついてる」
片手を伸ばして彼女の口元に触れた
ソースを拭うとその指先を舐める
視界の端にベジータが変な顔でこちらを見ているのが映った
「ん、何だ?」
「あ、焼きもちでしょ。ベジータさんもラディの事好きだから」
「!?……そんな訳があるか!人前で何をするのかと……」
「またまた~。でも、駄目ですよ。ラディは私の恋人です」
ベジータの前で人差し指を立ててそう宣言するミズナ
するとベジータが手近にあったコップを取るとそれを投げ付けた
「違うと言ってるだろうが!」
「顔、真っ赤ですよ」
怒るベジータと笑顔で彼をからかうミズナ
ラディッツは2人を見ながら額を摩った
鏡が無ければ見えないが、恐らく赤くなっているだろう
そんな自分に気付いたミズナが心配そうに眉を寄せた
「どうしたの?おでこ赤くなってる」
「ベジータ……何で俺に投げるんだよ」
「お前に……当たったか?」
「当たったよ!って言うか、俺を狙っただろう!」
「……サイヤ人ならば避けろ」
「お前が投げた物を俺が避けられると思うか!」
そう言っている間にミズナが席を離れる
冷凍庫から保冷材を見つけ出すとタオルに包んで持って来てくれた
「はい、冷やさないと腫れちゃうよ」
「あ……ああ」
受け取った保冷材を額に当てて背凭れに寄り掛かる
視線を落とすと、ベジータは言い争いに飽きたのかプリンを食べ始めていた
その表情がどことなく子供っぽく見える
ここで笑ったらまたベジータを怒らせるだろう
ラディッツは笑いを噛み殺すと幸せそうにプリンを頬張るミズナの横顔を眺めた