第11章 一ヶ月の処分(リクエスト)
その言葉に頷き、こちらに近付いてきた
冷蔵庫のドア側に並んでいる飲み物を取ると、ミズナがいるテーブルの方へ歩いて行く
それを見ながら冷蔵庫を閉めると調理台に材料を置いた
壁を隔てた食堂から大勢の人々が雑談をする声が聞こえて来る
自分がここにいる事を知っているのは、命令したフリーザ
それとミズナとベジータ、他の料理人だけだった
壁の向こうの人々が自分が作っている事を知ったらどんな顔をするだろう
「まあ……知られたくはないけど、な」
ラディッツは小さく笑みを浮かべると、並べられた包丁に手を伸ばした
「ん~、やっぱり美味しい」
自分が作ったトマトソースのパスタを食べ、ミズナが嬉しそうに微笑む
ベジータはその向かいで無言で料理を口に運んでいた
1人分で間に合うミズナとは違い、ベジータはかなり食べる
今作ったパスタの他に作り置きしておいた料理もテーブルに並べられていた
彼が平らげる皿を他の料理人が片付ける
ラディッツはタオルを片手にテーブルに近付くとベジータの背後に立った
片手で彼の顎を掴むと口元をタオルで拭う
「っ……な、何だ!」
「口、真っ赤だぞ。ミズナみたいに上手く食え」
そう言い、汚れた面を中に折り込んだタオルを彼の側に置いた
席に座ろうとしたところである物を思い出して再びテーブルを離れる
冷蔵庫からトレイごとカップを出すと席に戻った
テーブルに置いたトレイを見てミズナが笑みを浮かべる
「あ、プリン」
「昼前に時間あったから作った」
そう言い、大き目のカップに入ったプリンをミズナとベジータの前に置いた
ベジータがカップを見てからこちらに視線を向ける
「お前、ずっと調理場にいたらどうだ?」
「勘弁してくれ。それでなくてもあと2週間残ってるんだぞ……侵略に行く方がマシだ」
「我慢するんだな。今回の処分は……俺にとっては良い事だが……」
「……お前も俺の手料理が好きなのか。さすがに照れるな」
その言葉にベジータの動きが止まった
何か言いたそうに口を動かすが、視線を落とすとフォークをサラダに刺す
その頬が僅かに赤くなっているのを見て口元を歪めた
そんな自分を見てミズナが首を傾げる