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ドラゴンボール/ラディッツ

第10章 理由(リクエスト)


小細工をしては逃げられるだけだと分かり、身を翻して瓦礫が散乱する床を蹴る
黒煙に紛れてラディッツとの間合いを詰めた
スカウターで彼がまた動いたのが分かり、横に腕を伸ばす
その手が彼の腹部に触れると思い切り引き寄せた
反射的に片腕を上げたラディッツが自分の顔を見て動きを止める
寒気がするほど凶悪な表情を浮かべる彼が口を閉じて目を瞬いた
その体から力が抜けるのが分かり、ほっとして声を掛ける

「ラディ、どうしたの?一体何が……」
「……ミズナ?」
「うん」
「………………」
「え?」
「ナッパが……」
「ナッパさんが?」
「……あいつ……俺が作ったプリンを食ったんだよ!」
「ぷ……プリン?」
「お前に食わせようと思ったプリン!初めてにしては上手く出来たと思ったのに……っ」
「……それが大暴れの理由なの……?」

ラディッツが発した言葉に様子を見ていたべジータとフリーザの顔が引きつる
その表情は天井に開いた穴から煙が出ていくおかげでよく見る事が出来た

「お前が食いたいって言うから作ったのに……」
「そ、そうなの?嬉しい!ありがとう、ラディ!」

ミズナが笑顔を見せると、ようやくラディッツの戦闘力が下がり始める
そこで瓦礫の影に隠れていたフリーザがその影から出てきた

「ほっほっほ……そんな理由でここまで壊してくれたのですね」
「壊した……俺が?……って、フリーザ様、ボロボロですよ?誰がそんな事を……」
「これもあなたのせいでしょうに……まあ、確かにダメージは大きいですね。話は後にしましょう」

そう言い、スカウターを弄る
程なくしてバタバタと騒がしい足音が聞こえて来た
瓦礫を乗り越えて来るのは白衣を着た医療班
戦えない彼らは安全なシェルターにでも身を隠していたのだろう
医療班が一列に整列するとフリーザが口を開いた

「怪我人の手当てを急ぎなさい。私もメディカルマシンを使わせて頂きますよ」

そう言い、1人の肩を借りて歩き出す
数歩歩いたところで顔をこちらに向けるとラディッツに声を掛けた

「処分は後ほど。不可抗力ですからそれほど厳しくはありませんよ」
「……はっ」

そう返事をしてミズナの方を見る
すると、こちらを見ていた彼女と視線がぶつかった
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