第7章 千年に一人
「……ナッパ、大丈夫なのか?」
「さあな。放っておけ」
「良いのか?」
「構わん」
ベジータがそう言うのならそうして置こう
ラディッツはそう思い、髪を洗う為に浴槽を出た
肌の水滴を拭いてスーツを着る
衝立の陰から顔を覗かせると、既に着替えを終えたベジータとラディッツが自分を待っていた
「お待たせー……あれ、ナッパさんは?」
「知らん」
「?」
「お前にやられて倒れたままだ」
「え。良いんですか?」
「次に入る奴等がどうにかするだろう」
そう言い、ベジータが先に部屋を出る
その後に続こうとしたが、彼はすぐに足を止めてしまった
ドアを開けた先に大勢の人が集まっている
何事かと思った時、目の前に居たフリーザが声を掛けて来た
「先程、随分と船が揺れましたが……何があったのです」
「え?あ……ちょっとナッパさんが……」
「サイヤ人にあるまじき行為をしたからミズナが鉄槌を下した」
「あるまじき行為……察しがつきましたよ。女性は別に時間を取れば良かったですね。明日からは別にしましょうか」
「す、すみません。お風呂は多分壊れてませんから……」
「構いませんよ。そうそう、壊れると言えば、船が揺れる前にスカウターが壊れたんですよ」
「スカウターが?」
「この船に居る全員のスカウターです。直前にもの凄い勢いで上がる戦闘力を表示したんですが……覚えはありませんか?」
「それは……分かりません。壊れた装置から誤信号が出たんじゃないですか?」
「ふむ……そうかも知れませんね。では、皆さん。順番通りに入って下さいよ」
フリーザが周囲の人々にそう言うと部屋の方へと戻って行く
人垣が崩れ、その間を通ってC地区へと向かった
すれ違うようにして順番を待っていた別の種族が入って行く
「う、うわっ!おい、中にナッパが残ってるぞ!」
その言葉が聞こえた途端、ベジータの歩調が早まった
後に続いていたラディッツとミズナも自然とそれに従う
「こら、サイヤ人!ちゃんと連れて行けよ!」
「その前に……生きてるのか?あれ……」
「医療班!誰か、医療班呼んで来い!」
騒がしい声から逃げる様にしてミズナは部屋に戻った
自分の部屋に使ったタオルを置いてからラディッツの部屋に向かう
まだ電力が回復していないドアを手で押して開けた