第6章 子守り
「それで……俺は何故お前の部屋でシャワー装置に入ってたんだ?」
「熱が下がった後にね、子供になってたの」
「子供?」
「凄い暴れ方してあちこち壊したらしいよ。ナッパさんとフリーザ様にも怪我させてたし」
「……恐ろしい事を……」
「そうだよねえ。やんちゃな子供の悪戯だって大目に見たみたいだけど」
「普通なら生きてられないな」
「うん。で、私とベジータさんが戻って来たんだけど、何でかラディは私の前だと大人しくなったの」
「へえ……何でだろうな」
「さあ?それでフリーザ様に子守を頼まれて、今日で1週間目」
「……よく分からんが、厄介な奇病だな」
「今、予防薬作ってるみたい。ベジータさんが同じ状態になったら困るって」
「俺以上に暴れるかもしれないから、か?」
「うん。王子様が見境無く暴れたらと思うだけで怖いよ」
「そうだな」
僅かに笑みを浮かべるラディッツ
それを見てミズナが噴出すようにして笑った
「何だよ」
「だ、だって……その髪型、気に入ったの?」
「髪って……!何だこれは」
結ばれているのに気付いていなかったのか、慌てて2つの髪止めを解く
手で乱暴に髪形を戻すとこちらを見た
ちょっとだけ赤くなったラディッツの顔を見ながらミズナが立ち上がる
彼の背に腕を回すのと同時にゆっくりと胸に頬を寄せた
「お、おい……ミズナ、どうした?」
「大人だな、って思って……戻らなかったらどうしようって、ずっと思ってたから……」
「戻っただろうが。……泣くなよ」
「残念だけど、泣いてない」
「……可愛くないな」
「っ……悪かったね、可愛くなくて!」
そう言い、ラディッツの足をヒールの部分で踏む
痛さで声が出ないのかラディッツが足を押さえて蹲った
「私がどれだけ心配したと……っ!」
そこまで言い、軽い眩暈に襲われる
額の端を指先で押さえて崩れる様にベッドに座った
「痛って~!強化靴で踏む事無いだろ……って、ミズナ、どうした?」
「ちょっと眩暈が……最近ちゃんと寝てなかったから」
「大丈夫かよ」
「ラディの寝相が悪いし、心配で寝るどころじゃなかったし……」
「……」
ラディッツが立ち上がってミズナの頬に手を触れる
元から肌の色は白いが、今は青白いように見えた