第6章 子守り
「辺境の惑星に奇病があるらしい」
「……奇病?」
「その星の物には抗体があるから熱しか出ないらしいがな」
「ラディッツはその奇病にかかってしまったんですか?」
「恐らくな。抗体が無い者は熱が引くのと同時に体が未熟になり、記憶を失うらしい」
「あの……それで……」
「いつかは必ず元に戻る。サイヤ人ならば早く治るかも知れんがな」
その言葉にミズナが安堵の表情を見せる
話を全く聞かずにひたすら食べ続けるラディッツの頭を撫で、再びベジータの方を見た
「調べてくれたんですか?」
「……」
「ありがとうございます、ベジータさん」
「……ふん」
顔を背け、グラスに残っていた飲み物を一気に飲み干す
ミズナは笑みを浮かべると布巾でラディッツの口元を拭いた
ラディッツが暴れたら困るという理由で出撃の命令が出ない
ちょっとした用事で部屋を出る時もラディッツは必ず側に居た
こんな状態でもう1週間が経つ
自分が居ればラディッツは暴れないと知った人々は安心して過ごしていた
イスに座ってブックパネルを読む自分にラディッツが近付いて来る
パネルを持っている手を両手で掴むと軽く引っ張った
「ミズナ、シャワー!」
「シャワー?また泡だらけにして遊ぶの?」
「早く、早く!」
「はいはい」
遊ぶものが何も無い部屋
石鹸はもう何個使ったか分からないが、ラディッツが楽しいのなら構わない
ミズナはラディッツに先に入らせるとジャケットを脱いだ
彼の髪を洗うだけにして自分は寝る前にシャワーを浴びよう
そう思いながら装置の中のラディッツに声を掛ける
「入るよー」
「うん」
ドアを開けると、既に石鹸を持っているラディッツが居た
「先に髪を洗うよ。遊ぶのは後」
「え~」
「え~、じゃないの」
そう言うとラディッツは渋々石鹸を棚に戻す
ミズナはそれを横目に見ながらシャンプーを手の平に出した
背中を向けて立つラディッツの髪を濡らす
長い髪を丁寧に洗い、邪魔にならないように2つに分けて結んだ
「はい、あとは自分でやってね」
「うん」