第6章 子守り
「?」
ラディッツが不思議そうな顔をしてこちらを見る
それに笑みを返して先にシャワー装置へと入らせた
シュッと音を立てて装置のドアが閉まる
「はぁ、びっくりした」
ミズナはそう呟き、装置から離れた
タオルを用意してからスカウターを外そうと腕を伸ばす
「あ、ラディの着替え……どこにあるのかな」
今まで着ていた1着以外には無いのだろうか
そう思っていると、廊下からの呼び出し音が鳴った
スカウターを弄ってドアを開ける
「よお、ミズナ。ラディッツの着替えを届けに来たんだが……」
「ありがとうございます、ナッパさん。今、聞きに行こうと思ってたんです」
「そうか。ラディッツ、大人しくしてるか?」
「はい。いい子ですよ」
「……信じられねえな」
「言う事も聞くし、暴れたりもしませんが……」
「お前が戻って来るまでは地獄だったんだぞ」
ナッパはそう言って笑うと頭に貼ったガーゼを摩りながら立ち去った
その背中を見送り、ドアを閉めてベッドへと近付く
受け取った箱を置いて蓋を開くと、一通りの着替えが入っていた
必要な物を取り出して箱をベッドの横に下ろす
「さて……私も入ろうかな」
そう呟いてスカウターを外した
戦闘服と衣類を脱いで大きめのタオルを身体に巻く
装置に近付くと、微かに水が流れる音が聞こえた
「ラディ、入るよ」
装置の中に声を掛けてドアを開ける
「うわっ、何……っ!」
目に入った光景に言葉が詰まった
装置の中は泡だらけ
ラディッツの姿すら見えない程に真っ白な泡に覆われていた
「ら、ラディ?どこ~?」
「ここ」
返事が聞こえた辺りの泡を両手で掻き分ける
特徴のある尖った毛先を見つけ、その身体を抱き上げた
「もお、何してるの?」
「遊んでた。これ、良い匂いがする」
そう言い、ラディッツが手に持っていたのをミズナに見せる
それは香りを気に入ってとある惑星から取り寄せている石鹸だった
「シャワーを当てるとモコモコ泡が出る」
「ま、まあ、確かに泡は凄く出る石鹸だけど……」
ミズナがラディッツが持っているシャワーヘッドを受け取り、周囲の泡を流す
溶ける様に泡が崩れて排水溝に流された
ラディッツはそれを残念そうに見つめている