第5章 二度目
重力装置の故障から数日が過ぎた
1人で侵略に出たラディッツの様子をスカウターで見る
「……あと3日くらいで終わるかな。怪我しなきゃ良いけど……」
いつも行動していた相手
その彼が1人で遠く離れた星にいる
無茶をしないかとても心配だった
「ラディッツも私が1人で行く時はこんな気持ちだったのかなあ」
そう呟き、窓の外を見る
大きな赤い星がすぐ側に見えた
何と言う名前の星なのだろう
じっとその星を眺めていると、スカウターがピッと音を立てた
表示されたのは自分への命令
ミズナは溜息を吐くとベッドを下りた
ラディッツが戻って来るのを出迎えることが出来ない
いつも彼が自分を待っている様に迎えたかったのに
ベッド横に置いていた戦闘ジャケットを頭から被ると尻尾を腰に巻き直す
髪を整えて廊下に出ると、ドアのすぐ横にベジータが立っていた
「遅いぞ」
「あれ?ベジータさんにも命令が?」
「お前のスカウターは旧式か。俺のやつには同じ命令を受けた奴の名前が出るぞ」
「そうなんですか。戻って来たら新しいの貰わないと……」
「ふん。さっさと行くぞ」
「はい」
先に歩き出したベジータの後に着いて発着室へと向かう
すれ違う人と挨拶を交わすが、ベジータは無言のままだった
普段と変わりないその姿
ラディッツの事から立ち直ったのかと思い、少し安心した
「ところで……」
「はい?」
「重力装置が壊れた時、フリーザに攻撃ををしていたが咎めは無しか」
「ああ、あの時……犯人が分からないそうですよ」
「何?」
「私達の姿が見えなかったみたいです。ラッキーでしたね」
「……気付かれたらどうするんだ」
「正当防衛で切り抜けます」
「……」
「何か?」
「いや……お前はかなり力があるんだな」
「そう、ですか?」
「あの重力の中を俺とラディッツを抱えて飛んだだろう」
「必死でしたから。ドドリアさんで圧死なんてサイヤ人の恥ですよ。フリーザ様は怪我をしたみたいですけど」
「……そうか」
そこで会話を止めて発着室への自動ドアを通る
普段は整備の人が居る筈だが、今日は1人も居なかった
「誰も居ませんね。珍しい」
「重力装置の点検に駆り出されているんだろう」
「あ、そうですね。またあんな事になったら大変です」