第5章 二度目
「っ……あ、あれ?」
急に体が軽くなったの分かり、周囲を見回した
室内はいつも通りで重力にも異常はない
安堵の息をはくと腕で体を起こして廊下の方を見た
押していた光弾が消えたのか、もの凄い速さでフリーザ達が横切る
「うわっ、凄い顔。じゃなくて、フリーザ様……助けないと」
そう呟きいてドアの方に近づいた
顔を出そうとしたところで目の前でドアが閉まってしまう
風圧で揺れる髪が額をくすぐり、ふと横に顔を向けた
ラディッツがドアの横に立って開閉キーを押しているのが見える
「危ないから閉めとくぞ」
「え~、フリーザ様達が……」
「フリーザ様とザーボンはともかく、どうやってドドリアを助けるんだ」
「えっと、それは……う~ん」
「それに、お前は何の躊躇も無くフリーザ様を攻撃しただろう。見捨てておけ」
「あ、あれは攻撃じゃなくて正当防衛!息が止まりそうだったのにあの3人が上に乗ったら潰されるもん」
「とにかく、助けるのは無理だ。諦めろ」
ラディッツはそう言うと床に倒れているベジータを見た
うつ伏せで倒れていて表情は見えない
倒れた拍子にどこかを痛めたのだろうか
そう思い、ミズナの方へと視線を移した
「ミズナ、ベジータを見てやれよ」
「うん。……ベジータさん、大丈夫ですか?どこか痛い所でも……」
声を掛けながら肩に手を置いて揺すってみる
すると、彼は両腕で体を支えるとゆっくりと顔を上げた
よろめきながら立ち上がり、ラディッツを睨む
「……ラディッツ……」
「ん?」
「貴様……1度ならず2度までも!許さんぞ!」
「え?……さっき伏せた時か?当たってないと思うが……」
「口ではない、頬だ!」
「何だ、頬かよ。事故だ、事故。忘れちまえ」
そう言い返すものの、べジータの怒りは納まりそうに無い
再びミズナを間に挟んで口喧嘩が始まった
げんなりしながらスカウターを見ると、廊下の重力装置の故障の知らせが入っている
続いて修復までには時間が掛かるから出歩かないようにと表示された
「はあ……困ったな」
装置が直るまでこの喧嘩を見ていなければならないのだろうか
どうにかしてベジータの怒りを収められれば良いのだろうが、何も思いつかない
上昇していく彼の戦闘力を見ながらミズナは小さくため息を吐いた