第5章 二度目
「ラ、ラディッツ!」
「ベジータ……っ!」
言い終わるのと同時に2人を挟むようにしてラディッツが壁に手を付く
何とかぶつかるのを止めたものの、そのままの格好で動けなくなった
「貴様っ!俺に近付くなと言っただろう!」
「無理を言うな!好きで近付いたんじゃない!」
両手両膝で身体を支えるラディッツ
支えているのが辛いのか、徐々に腕を曲げ始めた
「ラディッツ、力を抜くな!」
「あのな……この重力じゃ俺にも限界が……」
「せめて顔の位置をずらせ!2度目まで貴様に奪われてたまるか!」
そう言うとベジータはラディッツに手を伸ばした
両手で顔を押さえ、無理矢理横を向かせる
「ベジータ……く、首の骨が折れる……」
「知った事か。こっちを向くな!」
「うう……重い~」
どうにか抜け出そうとするものの、指先しか動かせない
装置が直るのを待つしかないのかと思っていると、また重力が強くなった
「っ……」
肺が圧迫され、さらにべジータの頭が乗っているせいで息をするのも辛くなる
ベジータだけではなく、ラディッツの体重が加われば息を吸うことも出来なくなるだろう
とにかく先にラディッツを横に移動させなければ
そう思って彼に声をかけようとした時、彼の後方に人影が見えた
影は3つでその姿にはかなり見覚えがある
「嘘……」
思わず声を上げると、ベジータもそれに気付いたらしい
こちらに向かってくるのはフリーザとザーボン、それにドドリアだった
このままでは完全に潰されてしまう
ミズナはそう思い、ありったけの力を両腕に込めてラディッツを挟む様にして構えた
「ラディ、伏せて!」
言い終わるのと同時にラディッツが倒れ込む
ベジータが硬直するのを感じながら光弾を打った
いつもより速度は落ちたが、狙い通りにフリーザに当たる
光弾が3人を押し上げている間にミズナは上半身を起こした
上に重なる2人の襟首を掴んで思い切り飛び上がる
この場所から一番近いのはミズナの部屋
ドアの溝に足を掛けてパネルキーを見た
だが、両手に人を抱えていては開錠キーを打ち込む事が出来ない
「ラディ、押してっ」
「キーは……」
「ZAKUGH!」
それを聞いてラディッツがタッチパネルを押す
するとシュッと軽い音がしてドアが開いた
それを見て体を前に倒すようにして部屋に入る