第4章 入れ替わり
「そんなに大股で座らないで下さいよ」
ベジータがそう言いながら椅子に腰を下ろす
両足を斜めに揃えるのを見てミズナが舌打ちをした
「貴様こそ、その座り方をやめるんだな」
「仕方ないじゃないですか」
そんな会話を聞きながらラディッツは壁に寄りかかった
自分がどんなに考えても2人を元に戻す方法が分かるわけがない
ベジータが言ったとおり、自然に戻るのを待つしかないのだろうか
「……いつになったら戻れるんだろうな」
「さぁな。明日かも知れんし……一生このままかもな」
「一生!?そ、それは困るぞ!」
慌てるラディッツにミズナが視線を向ける
「何が困るんだ」
「それは……その、ミズナが……それに、俺も……」
「ふん。はっきり言ったらどうだ」
ミズナが立ち上がり、ラディッツへと近付いた
片手を壁について口を吊り上げるようにして笑う
「このままでは抱くことも出来ん、とな」
「っ……!」
固まるラディッツから離れ、ベジータの方に視線を移した
今の言葉は小さくて聞こえなかったのだろう
不思議そうな顔をしてラディッツを見ていた
「とにかく、他の奴等には言わないほうが良いだろう。俺はこの部屋を使うぞ」
「では、私がベジータさんの部屋を?」
「ああ。あまり弄って回るなよ」
「ベジータさんも男ですからねー……エロちぃ本の10冊や20冊、見つけたって何も言いませんよ」
「そんなもの、持っていないっ!」
僅かに頬を赤らめてそう叫ぶミズナ
ベジータは小さく笑うと部屋を出て行った
その後を追うようにしてラディッツが廊下へと出る
ミズナはドアが閉まるとベッドへと近付いた
窓際に置かれたベッド
視線を上げると、自分の顔が窓に反射して見える
いつものミズナの表情とは違い、厳しい顔
どうやったらあの緊張感のない表情が出るのだろう
ミズナはベッドに両手を付き、しばらくの間自分の顔相手に奮闘していた