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ドラゴンボール/ラディッツ

第3章 ストレート


そう言いながら丁寧に髪を拭くミズナ
いつもなら何気ない会話が続くが、妙に意識してしまって上手く言葉が出なかった
するとミズナが手を止めてこちらを見る

「どうしたの?何か変だけど」

そう言い、僅かに首を傾げた
動きに合わせて髪が揺れ、その先端から水滴が首筋を伝い落ちる
こちらを覗き込む彼女の上気した頬を見るとラディッツは僅かに目を細めた

「変なのは……お前のせいだろうな」
「え?……っ!」

どういうことかと聞く前に視界が回る
背がベッドに沈み、両手首を掴まれて押さえつけられた
ラディッツと、その向こうに天井が見えて自分が押し倒されたと分かる
ミズナは2、3度瞬きをして恐る恐る口を開いた

「ラ、ラディッツ……?」
「俺がどんな気持ちでお前を見ているか分かるか?」
「え……?」

片手が離され、掴んでいた手がゆっくりと頬に触れる
ヒヤリと冷たい手に無意識に指を軽く握った
いつもとは違う彼の様子と、押し倒されていることに対する女らしい恐怖心で動けなくなる

「……他の男の前で笑うお前を見たくないんだよ」

言葉と同時に顎を掴まれた
そのまま縮まる2人の距離に、ミズナが慌てて口を開く

「ちょ、ちょっと……!」
「嫌なら抵抗しろよ。お前になら簡単に出来るだろ」
「っ……」

確かにこの状況から逃れることは自分にとっては簡単なこと
だが、ミズナにはそれが出来なかった
下手に吹っ飛ばしてラディッツに怪我をさせたくない
そう思い、僅かに手に入っていた力を抜いた
ラディッツの目に映る自分
良く分からないが、きっと格好悪いほど赤くなっているだろう
目を伏せると少しの間の後に唇が重なった
ラディッツの手が手首を離し、そのまま背を抱かれる
彼の長い髪が頬や腕を滑り落ちた
徐々に深くなるキスに息苦しさを感じて自由になった両手でラディッツの腕に触れた
それが合図のように唇が離れ、ミズナは目を開ける
真っ先に目に入ったのは顔を逸らしているラディッツの姿
耳まで赤くなっているのを見ると自然と笑みを浮かべた

「……変な顔」
「ほっとけ……」
「自分から仕掛けといて赤くなってる」
「うるさい」

ラディッツが馬乗りの体勢から隣へと移動する
ミズナは身体を起こすと首に掛けていたタオルで口元を覆った
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