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ドラゴンボール/ラディッツ

第17章 クウラ軍・前編


恥ずかしそうにそう言い、薬の容器を棚から取るミズナ
張られているシールの説明を読むともう一方の手にガーゼと包帯を持って戻ってきた
自分の前にある椅子に座ると持っていた物を膝に置いてこちらに手を差し出す

「はい、見せて」
「……」
「サウザー様って紳士的かと思ったけど、全然違ったね。馴れ馴れしいし変な事言い出すし」
「ああ」
「べジータさんも助けようとしてくれたんだけどね。攻撃して良いのか迷ってたみたい」
「そうか。……なあ、ミズナ」
「何?」
「俺が負けたら、どうする」
「ん~……」

自分の言葉にミズナが考えるように首をかしげながら薬の蓋を開けた
暫しの間を置いて微笑むと薬を掬って傷に塗り始める

「ラディが負ける訳ないでしょ」
「何で言いきれるんだ?俺は弱虫だぞ?」
「またそんな事言って。フリーザ様に大怪我させるくらい強いじゃない」
「アレは……覚えてないからな」
「大丈夫、大丈夫。ラディ、強くなったから」

そう言い、てきぱきとガーゼを当てて包帯を巻き始めた
邪魔にならない程度に重ねて巻き、折り込んで端を止める
薬に蓋を閉めると、使った物を片付けてこちらを見た

「ね、ラディ。今日一緒に寝ても良い?」
「ああ」

平気だと言ったが、やはり明日の事を考えると怖いのだろう
それを口にしないのは自分と同じく相手に余計な不安を与えない為
ミズナのそんな思いを感じながら立ち上がると、怪我をしていない方の手を差し出した
すると彼女が棚から離れてこちらに近付き、手に触れる
そのまま自分の方へ引き寄せると両腕の中に閉じ込めた
自分のその行動に、小さく声を上げて驚いたようにこちらを見上げる

「……どうしたの?」
「何となく」

言葉と同時に身を屈めて首筋に顔を埋めた
ミズナはそんな自分を拒む事無く子どもをあやすような手つきで背を摩ってくれる
それによって心の奥底に隠した戦いへの恐怖心が薄れていくのが分かった
この優しい手にあやされる子どもはどれだけ幸せなのだろう
ぼんやりとそんな事を考えながら僅かに顔を上げた

「ミズナ」
「ん?」
「明日、俺が勝って……落ち着いたら、こど……」
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