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ドラゴンボール/ラディッツ

第17章 クウラ軍・前編


奥に立っていた戦士が持つグラスを直撃し、そして更に向こうの柱へと当たって表面を焦がす
あまり大きな音はしなかったが、それによってガヤガヤと聞こえていた人々の声が途切れた
少し間を置いて誰だ、とか何だ、とかそんな言葉が聞こえて来る
それに答えるようにパリンッと何かが割れる音が響いた
音がした方に顔を向けるとラディッツが右手を胸の高さに上げているのが見える
持っていたグラスが握り潰され、ガラスと氷の欠片が零れ落ちていた

「お、おい、どうし……」

側に立つ戦士が声を掛けるが途中で言葉を飲み込む
元から鋭い目つきが怒りを含んで更にキツさを増して恐怖を感じたからだろうか
他の者も身動きも出来ずにただ彼を見つめているだけだった
騒ぎに気付いたフリーザとクウラですら何も言わずにラディッツを見ている
当の本人はそんな視線を全く気にしていないようで、左手を濡らす水滴を舐めるとサウザーからミズナへと視線を移した

「来い、ミズナ」
「……」

いつも通りの優しい声色を聞いて、サウザーの手を振り解くとその場を離れる
人々の間をすり抜けてラディッツに近付くと腕を掴まれるのと同時に引き寄せられた
そのままの勢いで彼の腰に抱き付くとほっと息をついて肩の力を抜く
助けてくれた事に感謝しつつ、サウザーへと視線を向けた
彼は振り解かれた手をじっとみていたが、すぐにこちらに顔を向けて笑みを浮かべる

「お前の女か」
「そうだ」
「そのジャケット……下級戦士だな。貴様がエリートの女に……」
「待て、サウザー」
「!……はっ」

彼の言葉を遮ったのはクウラの声
テーブルを離れ、道を開ける戦士の前を通り抜けて近付いて来る
無意識にラディッツの腰に触れる手に力を込めると気付いた彼が頭を撫でてくれた
顔を上げると彼が笑みを浮かべているのが見える
自身もクウラに対して恐怖心があるだろうに
どうして笑っていられるのだろうと思っていると、クウラがサウザーの傍らで足を止めた

「サウザー。あの女を気に入ったのか」
「はっ」
「ふむ……フリーザ」
「何ですか、お兄さん」
「あの男はどれくらい戦える」
「ラディッツさんですか?…………スカウターの数値の通りですよ」

その言葉にサウザーがスカウターを弄る
表示された戦闘力を見るとフッ、と短く笑った
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