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ドラゴンボール/ラディッツ

第17章 クウラ軍・前編


呆れたように声を掛けてきた男にそう返しながらグラスを持ち直す
一口しか飲んでいないそれは氷が溶けて上のほうに透明な液体が溜まっていた
不味くなっただろうなと思い、口を付けようとしたのを止めて隣を見る
そこには背後の柱に寄り掛かるようにして立つサイヤ人の王子がいた
手に持ったグラスは空になり、それを軽く降るとカラン、と中で氷が鳴る

「ミズナ。それを寄越せ」
「これですか?氷、溶けてますよ?」
「構わん」

そう言い、空のグラスを側のテーブルに置いたべジータに自分のグラスを渡した
彼はそれを一気に半分ほど飲むとグラスを掴む手の人差し指を立てる

「向こうだ」
「え?」
「二本目の柱の影を見ろ」

その言葉に指で示す方角を見た
奥から数えて二本目の柱
そこにこちらに背を向けるようにして立っている見慣れた姿を見つけた
誰かと話をしているのか、頷いたりする動きに長い髪が揺れている

「あっ、ラディ。良かったー、帰っちゃったのかと思った」
「帰る?」
「少し顔を出したらさっさと帰ろうって話してたんです」
「お前……」
「も、勿論、べジータさんとナッパさんも誘って帰ろうと……ほ、本当ですよ?」
「…………」

無言でこちらを睨む彼にえへへと笑って両手の指を組んだ
もう一度ラディッツを確認すると横に一歩足を踏み出してべジータに近付く

「と、言うわけで、帰りませんか?」
「俺は構わんが……」

そう言い、視線が少し離れたテーブルに向けられた
そこではすっかりクウラの部下と仲良くなったナッパが料理を食べている
声を掛けても付いてきそうに無いのを見てミズナは困ったように笑みを浮かべた

「ナッパさんは……楽しそうなので放っておきましょう」
「そうだな」

グラスの残りを飲み干そうとしたべジータが二、三口飲んで動きを止める
口からグラスを離す彼が自分の後ろを見ているのに気付いて振り向こうとした
だが、それよりも早く肩に何かが触れて動きが止まる
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