第16章 二人の関係
「じゃ、見せないでおくね。食欲なくなったら困るし」
そう言うと再びベッドに寝転がった
放り出したままのブックパネルに手を伸ばすと再び読み始めてしまう
足を交互に揺らす彼女を見ながら頭の後ろで両手を組んだ
次の出撃まで残りは1日半
彼女と同じく読書をするのも良いが、途中で寝てしまうだろう
ならば潔く昼寝をしようとスカウターを外すと棚に置いて目を閉じた
静かな室内に、時々ミズナが動く物音だけが聞こえる
眠気に負けて意識を手放そうとしたとき、わき腹近くのスプリングがへこむのを感じた
ミズナが動いたのだろうとたいして気に留めず眠ろうとする
だが、今度は寄り掛かっているクッションの両側がへこんだ
さすがに気になり、何をしているのかと眠りに落ちる寸前の重い瞼を開ける
「?……」
目に入ったものが最初は理解できなかった
数回瞬きをして、それがミズナの顔のアップだと分かる
「あ……起きちゃった」
「……まだ寝てない。どうした?」
そう言う自分の上に彼女が凭れかかってきた
具合でも悪いのかと細い身体に両手で触れる
すると小さく溜息をつくのが分かった
「ミズナ……?」
「襲おうと思ったのに……つまんないの~」
「襲うって……お前なあ……」
「だって、パネル読むのに飽きちゃったし、寝るには勿体無いし……っ」
言葉の途中で視界が回った
次の瞬間には背が柔らかなベッドの上に弾む
先ほどとは逆の体勢になったのが分かり、少し動揺した
「え?あ、あのっ、眠いんなら、寝てても良いよ……?」
「誘われて断れると思うか?」
「誘って……」
唇を彼のそれで塞がれ、言葉が出せなくなる
触れ合うだけのものなのに頭の中がしびれるような感じがした
目を伏せると、ラディッツをどけようと胸についていた手をそろそろとベッドに降ろす
唇が離れると肩に触れていた彼の手がわき腹のほうへと移動するのが分かった
久々のことに緊張するが、それよりも嬉しさが上回る
ミズナはジャケットを脱ぐ為に両腕を頭のほうへと伸ばした