第16章 二人の関係
自分の部屋のベッドに、ミズナが我が物顔で寝転がる
ラディッツはその隣に上体をクッションに寄り掛からせて座っていた
ブックパネルを読んでいる彼女の髪を撫でるとこちらへと顔が向けられる
「ん?」
「まだ、聞きたいことがあった」
「……ナッパさんとは親戚じゃないよ?」
「いや、そうじゃなくて……」
自分の言葉に、ミズナがブックパネルを置いた
両手で顎を支えるようにして肘をつくとこちらに視線を向ける
「何?他に、何か気になることあった?」
「……お前の親父。元は、下級戦士だったと聞いたんだが」
「そうだよ。生まれた時は戦闘力低かったんだって」
「親衛隊長になったのは実力があったからだろ?」
「うん。べジータ王は兄弟だからって贔屓する人じゃないよ」
そう言いながらミズナが身体を起こした
スカウターを弄ると表示された画像に目を細める
こちら側からは反転して見えるが、彼の父の写真が表示されているのが分かった
「下級戦士だった頃に瀕死になって、目が覚めたら強くなってたんだって。戦闘力、数十倍になって驚いたみたい」
そう言いながらスイッチを弄ると次々と写真が切り替わる
その中には自分と映っているものもあった
そして、下級の黒いジャケットを着た隊長と自分の父
ミズナはそこで手を止めると、視線をこちらに向けた
「ポッドで戻って来たお父さんを見た人たち、死んでると思ったんだって」
「そんなにひどい怪我だったのか」
「……写真あるけど、見る?」
怪しく口角を上げて微笑む彼女を見て、思い切り首を左右に振る
するとミズナは残念そうな表情を浮かべた
「度胸ないなあ」
「絶っっ対見ないぞ。っていうか、何でそんな写真があるんだ」
「記念に撮ったみたい。一応、笑顔で写ってるみたいだよ?ピースしてるし……でも、ぐちゃぐ……」
「いい!言うな!」
言葉と同時にミズナの口を両手で塞ぐ
驚いたように目を見開いた彼女が、両目を笑みの形に歪める
こちらの手に触れてゆっくりと下ろさせるとスカウターの表示を通常のものへと戻した
さらに左耳から外すとそれを棚の上に置く