第2章 距離
斜め前を飛ぶミズナを見ながらラディッツは先程の事を思い返した
15000の戦闘力を持つとは思えない細い身体
白い肌と女性らしい身体のラインに目が釘付けになり、ミズナが声を上げるまで見入ってしまった自分
(ヤバイな……変に意識しちまう……)
幼い頃からいつも側にいたミズナ
いつの間にか彼女が隣に居るのが当たり前になっていた
仲間としてではなく、恋愛対象になってしまうとそんな関係が壊れてしまう気がする
これからどうやって彼女に接したら良いのか
(参ったな……)
ラディッツはそう思い、小さく息をはいた
侵略を始めた翌日の朝
ラディッツはミズナと共に最後の見回りをしていた
眠りから覚めて真っ先に聞いたのはべジータからの制圧完了の言葉
自分達が休んでいる間に残った全ての街を破壊していた
それは彼にとっては軽い運動のような物なのだろう
破壊し尽くされ、黒煙を上げる街を見てラディッツはそう思った
「ベジータさん。異常ありません。そろそろ星を離れましょう」
『ああ。ポッドの場所に戻れ』
「分かりました」
ミズナがベジータとの会話を終えてこちらを見る
「ラディッツ、帰ろー」
「ああ」
飛ぶ方向を東へと変えて前を飛ぶ彼女を追った
するとミズナがスピードを落とし、自分の隣に並ぶ
「ラディッツ、何か……今日は変だね」
「どこがだ?」
「説明は出来ないけど……どっか変」
「なんだよそれ」
そんな話をしながら山を3つほど越えた
前方を見ると、空中に人影を見つける
「ベジータさん、早いですね」
「近くまで来ていたからな」
そう言葉を交わす彼らを尻目に、ラディッツは視線を下に向けた
3つのポッドの周囲は地表が深く抉られて着地の衝撃の跡を残している
視界の端に動くものを見つけると、反射的に口を開いた
「ミズナ、あれ」
そう言い、地上を指差す
ミズナが指の先を見て首を傾げた
その先には銃器を持った数人の人が岩陰からこちらを狙っているのが見える
「あらら……何処に隠れてたんだろ。スカウターも反応しなかったし……」
打ち出された光線を避けて揺れる髪を軽く押さえた
今になってピッと音を立てるスカウターにげんなりとして溜息をつく
「遅いって……」
「このスカウターは旧式だからな。探知しない事もあるだろう」