第15章 王子の子守り・後編
「べジータ、窓の方に寝ろ」
「ああ」
素直に言うことを聞き、べジータが窓のほうへ身体をずらした
その隣に横になるとべジータの身体に毛布を掛けてやる
ミズナが持ち込んだクッションを枕にして目を閉じるのを見て自分も目を伏せた
もぞもぞと何度か動くのを感じたが、やがて静かになり寝息を立て始める
寝つきが良いのは子どもだからだろうか
そう思いながら自分も寝ようと身動ぎする
左目を開けてスカウターを見ると、ミズナが出て行ってから15分程過ぎているのが分かった
フリーザの部屋への往復でこんなに時間が掛かることは無いのに
せいぜい5分あれば行き来が出来る程度だった
(遅いな……フリーザ様の長話につき合わされてんのか……)
彼女が戻るまで待とうと思ったものの、眠気に敵わずに意識が沈んでいった
身体をべジータの方に向けると片腕を彼の身体に乗せる
これで殴られそうになっても少しは押さえられるだろう
そう思いながら薄目を開けて側にあるべジータの寝顔を見た
起きていれば生意気だが、大人しく寝ていれば可愛いただの子どもにしか見えない
(もう少し穏やかな性格だったらなあ……)
ラディッツはそう思いながら眠気に負けて再び目を伏せた
目を閉じてからどれだけの時間が過ぎただろう
べジータの身体に乗せていた腕が持ち上げられるのを感じて目を覚ました
殴られるかと思わず身構えるが、そうではない
目に入ったのは先程とは違うべジータの姿だった
彼が眉を寄せ、2、3度咳き込んでから目を開ける
ゆっくりと室内を見回した目が自分を捉えると驚いたように起き上がった
身に着けていた子供用のアンダースーツは破けてしまっている
戻ったことに安堵し、声を掛けようとして身体を起こした
「べジータ」
「ラディッツ、なぜ貴様が……」
そこまで言ったところで自分の裸体を見下ろし、そしてこちらを見ると毛布を両腕で抱くようにして前を隠した
「き、貴様っ!何を……」
「何をって……添い寝だろうが」
「添い寝だと!?裸の俺に何をする気だ!そして、その顔は何だ!見苦しい」
「!?……べジータ、落ち着け」