第15章 王子の子守り・後編
べジータが広場で暴れ始めてから2時間弱
ミズナとラディッツが仕事を終えて広場に来ると、妙な笑顔を浮かべたナッパに出迎えられた
その表情を見てラディッツも笑みを浮かべて口を開く
「大変だろ、べジータの相手は。で、どうなった?」
「どうにもならん。止めてくれ」
そう言い、背後を右手の親指を立てるようにして指した
2人が同時に室内を見て、同じ動作で溜息を吐く
緑が溢れ、憩いの場として開放されていた広場
それが今は見る影もなく荒らされている
今まではこんなに酷い状態までにはならなかったのに
そして立ち上る煙の向こうには数人の人影が見えた
目を凝らすとジャケットの色でそれがエリートの戦闘員だと分かる
彼を止めようとして逆に倒されてしまったのだろう
倒れずに動いているのはザーボンとドドリアの2人だけだった
フリーザは来ていないのかと思いながらミズナがナッパのほうに視線を向ける
「エリート戦士だけですか?べジータさんにやられたの」
「いや、他の奴は医療室に運んだ。あいつらは大丈夫だって言ったから放っておいたんだが……」
「そうでしたか。そろそろ、お昼寝するのに丁度いい時間だし……呼んでみます」
ミズナがそう言い、自分の横をすり抜けて広場に入った
飛び回るべジータを目で追いながら口を開いて彼を呼ぶ
「べジータさん」
「……ミズナか。仕事は終わったのか」
「はい。そろそろお昼寝しませんか?眠いでしょう?」
「ん……そうだな……奴らを追い回すのにもあきた」
そう言うとべジータがこちらに身体の向きを変えた
両手を軽く広げて見せるとそのまま腕の中へと降りて来る
小さな身体を落とさないように抱えるとナッパのほうに顔を向けた
すると驚いたような表情を浮かべる彼の顔が目に入る
「ん?どうしたんですか?」
「い、いや、素直に戻ってきたから驚いただけだ」
「そうですか?いつもこうだったけど……」
「ミズナの言うことは大抵聞いてるな。……べジータ」
「なんだ」
「お前……ミズナのこと……」
「なんだ?」
「……何でもない」
そう言い、少し不貞腐れたようにそっぽを向くラディッツ
彼の態度を見てミズナが僅かに頬を赤らめて笑みを浮かべた
そんな自分をべジータが首を傾げて見上げる