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ドラゴンボール/ラディッツ

第15章 王子の子守り・後編


「ベ……べジータが来たぞ!」

広場に足を踏み入れるのと同時に聞こえた声
それは恐怖が混ざった声色だった
何だと思う間もなく斜め前に立っていたべジータが飛び上がり、両手に光弾を作り上げる

「お、おい!」

静止しようとするこちらにチラリと視線を向けただけで周囲の戦闘員へと撃ち始めた
ラディッツの時と同じように加減などされていない
戦闘員は物陰に身を隠したり、隙をついて廊下へと逃げようとした
だが、スカウターのせいで彼らの場所は分かってしまう
爆発音と悲鳴が響き、着弾するたびに床が揺れる広間
ナッパは顔を引きつらせるとゆっくりと後ずさった
そのまま廊下まで出ると地獄と化した室内から目を逸らす
部屋に逃げ帰ろうかと思ったが、ここで止めなければ戦闘員がどうなるか
それに、べジータを放っておいた自分にもフリーザの咎めが来るかも知れない

(どうする……止めるか。いや、だが言うことを聞くわけがないし、このままにしてはフリーザ様が……)

考えている間にも戦闘員は倒れ、部屋は破壊されていく
ナッパは散々悩んだ末に、再び広間へと足を踏み入れた

「べ、べジータ!もう少し手加減を……」
「サイヤ人の王子が手かげんなど出来るか!きさまら、もっと上手くよけてみろ!」

そう言い、更に力を込めた光弾が連続で打ち出される
戦闘員はべジータが子どもだからか反撃はしていなかった
宙を逃げ惑い、木の陰やベンチに身を潜めて広場から出ようとしている
昔、自分が世話をしたべジータは見境なく攻撃をするような子どもでは無かったのに

「凶悪さが増しているな……だが、止めようにもどうすれば……」

ミズナたちが戻るまでこのまま見ているだけのほうが良いだろうか

「そう、だな。うん、それが良い。俺は仕事帰りで疲れてるしな!」
「お、おい、ナッパ!お前べジータと同属だろ!何とかしろよ!」
「ん?……頑張れ。倒れたらこっそり運び出してやる」
「お前なあ……うわっ!」

木陰から顔を出していた戦闘員の足元に光弾が撃たれる
慌てて逃げる彼を見て申し訳なく思いながら、ナッパは背後の壁に寄り掛かった
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