第15章 王子の子守り・後編
非番の戦闘員が食欲を満たしに来る食堂
ナッパは真新しい戦闘服に身を包んでそこに足を踏み入れた
室内を見回すと、いつもラディッツが座っている席に彼の後姿を見つける
その隣には当然のようにミズナが座っていた
そちらに近付くと窓に映った自分に気付いたのか、ラディッツがこちらに顔を向ける
「来たか」
「ああ……べジータは任務か?」
「べジータのことで呼んだんだ。おい、ナッパだぞ」
彼がミズナのほうに目を向けるのを見て自分も彼女に視線を向けた
テーブルに向かって座るミズナ
その前には菓子が乗った皿が置かれ、彼女の膝に乗った子どもがそれを食べていた
こちらを向いたその子の顔を見て思わず顔が引きつる
逆立つ黒髪に広い額
お世辞にも可愛いとは言えないつり上がった目が自分を映した
口元に見下したような笑みを浮かべるとミズナに寄り掛かりながら口を開く
「ナッパ。星1つおとすのに何日かかってるんだ」
「ベ……べジータ……」
足と腕を組み、自分に声を掛けた子ども
幼少時の彼の世話をしていた自分が見間違えるわけがない
その5才くらいの少年はべジータだった
「なん……え?どうし……っ!」
様々な考えが脳裏を過ぎり、以前に同じことがあったのを思い出す
「ラディッツ、べジータも……」
「俺と同じだな。そろそろ戻る頃だと思うが……1つ頼みがある」
「な、何だ」
「俺とミズナ、仕事が入ったんだ。船内の仕事だがな」
「2時間くらいで終わりますから……その間、べジータさんを見ててください」
「な……」
「連れて行って暴れられたら困る。データが消えたりしたら、どうなるか分かるだろ」
「まあ……そうだが」
「お前、昔からべジータの世話してただろう?頼んだぞ」
そう言い、ラディッツがテーブルに手をついて立ち上がった
ミズナもべジータの身体を抱えるとイスを降りる
彼をイスの上に降ろすと両手を膝について声をかけた