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ドラゴンボール/ラディッツ

第14章 王子の子守り・中編


ドアの横に取り付けられたパネルに開錠キーを打ち込む
認証音が小さく鳴るのと同時にドアが横にスライドした
目に入った光景を見て目を瞬く
正面のベッドに寄り掛かっているラディッツと、ベッドで熟睡しているべジータ
なぜこの部屋の主が床に座っているのだろうか

「ラディ……?」

声を掛けてみるが何の反応も返ってこない
あの格好で寝ているのだろうかと思いながら静かに室内に入った
足音を殺してベッドに近付くと膝を床について頭を支えている彼の手に触れる

「ラディ、どうしたの?」
「……ん……?……ミズナか」
「うん。おはよう……って、何、その顔」

ゆっくりと顔を上げた彼を見てそんな言葉が出てしまった
何だと言うように首を傾げるラディッツ
その彼の左目の周囲は青く変色し、唇は切れているのか血が滲んでいる
そっと指先で触れると彼が顔を歪めて身体を引いた

「あっ、ごめん。怪我してるよ?手当てしないと……」
「……大丈夫だ。目はスカウターで少しは隠れる。こっちの傷も血を洗えば分からないだろう」
「そうだけど……どうしたの?そんなに傷だらけになって」
「べジータの寝相が凄まじく悪い。一晩中殴られ続けた」
「え?あ、腕も痣だらけ……痛い?」
「触ると痛むくらいだ。顔、洗ってくる」

そう言いながら膝に手をついて立ち上がり、側を離れるラディッツ
ミズナは彼がシャワー装置の中に入るのを見送るとべジータの方に視線を向けた
窓の方に顔を向けていてこちらからは寝顔を見ることが出来ない
ゆっくりと立ち上がるとベッドに手をついて毛布越しに肩に触れた

「べジータさん、起きる時間ですよー」

声をかけながら揺さぶると、薄く目を開けてこちらに顔を向ける
自分と視線が合うと小さく欠伸をして目を擦った

「……ミズナ……」
「起きてください」
「まだ眠い……」
「駄目ですよ。起きて顔洗ってください」
「……」

自分の言葉を聞いているのかいないのか
再び目を伏せるべジータの毛布を剥がすとその身体を抱き起こした
両腕に抱えて洗面台のあるシャワー装置に近付く
ドアを開けると顔を拭いていたラディッツがこちらを見た
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