第14章 王子の子守り・中編
浅い眠りから何度も目覚め、そろそろ起床時間になろうとしている
寝ようとすればするほど頭は冴えて眠気は片隅の方へと追いやられていた
その悪循環にため息を吐きながら天井を見るように首を回す
今日も朝から忙しいというのに
そう思いながら毛布を被り直そうとしたとき、隣に寝る子どもが寝返りをうった
拳を握った手はまるで狙ったかのようにこちらの鳩尾に当たる
「ぐっ……」
思わずうめき声を漏らし、ベッドから転がり落ちるようにして床に降りた
今ので何度目だろうか
寝返りをうつたびに足か手が体に当たる
力だけは以前のままのせいか、容赦なく叩き付けられるせいで熟睡出来なかった
戦闘ジャケットを身に着けていればまだマシだろうが母船で休むときまでアレを着る気にはなれない
子どもの状態の彼はなぜここまで寝相が悪いのか
そう思いながら痛みが引きはじめた腹を摩り、ため息混じりに立ち上がった
視線の先では星の明かりに照らされてサイヤ人の王子が眠っている
その顔を見ればただの子供のように見えた
目つきの悪い双眸は伏せられ、軽く握った片手が顔の脇に置かれている
まさか夜まで彼の面倒を見ることになるとは
寝付かせるのも大変だったが、この寝相の悪さは手に負えなかった
子供の身体には大き過ぎるベッドの上に手足を投げ出して眠る王子
枕からずり落ちた頭を元の位置に戻すと毛布からはみ出した腕を中に入れる
首元まで毛布を掛け直すとベッドに寄り掛かるようにして床に腰を下ろした
冷えた床に体温を奪われるが、殴られて目覚めるよりはまだ良い
立てた片膝に肘をつくと片手で頭を支えた
あと1時間半ほどで皆が目覚め始める
それまでに少しでも眠れれば良いのだが
そう思いながら目を伏せると小さく溜息を吐いた