第2章 距離
地面を揺らすような爆発音と立ち上る黒煙
ミズナは火の粉を軽く払うと周囲を見回した
自分の姿を見るなり攻撃してきた住人達
この星には戦える種族がいるのか、随分とてこずらせてくれた
「姿を見ただけで攻撃されるとは思わなかったなあ」
そう呟き、人気の無くなった街を歩き出す
他の2人も同じ様な目に合っているのではないだろうか
「私でコレだもん。顔が怖いあの2人じゃ大変だなぁ」
数歩進んだところでブーツの先がが水溜りにはまる
視線を移すと、噴水が壊れて水が漏れ出しているのが見えた
そちらに近付いて水を両手で受ける
それで軽く顔を洗うと頬を伝う水滴を拭った
「さて、次は……」
スカウターを見て地面を離れる
街の場所を確かめ、そちらの方向へと向かった
「……街の数、多いなあ。でも3日で終わらせないとベジータさんの機嫌が悪くなっちゃう……」
『誰の機嫌が悪くなるって?』
「っ……べ、ベジータさん。聞いてたんですか」
『スカウターをしていれば聞こえるだろう』
「あ、そうでしたね。迂闊なこと言えないなあ」
『ふん。さっさと次の街に行けよ』
「はい」
変なことを言わないように気を付けよう
ミズナはそう思い、眼下に広がる山々を見下ろした
3つほど中規模な街を回ったところで辺りが薄暗くなってくる
休むのにはポッドへ戻った方が危険も無く少しは眠ることも出来るだろうか
「ベジータさん、ラディッツ。私はそろそろ戻ります」
『好きにしろ』
『分かった』
2人の返事を聞き、スカウターの表示を変える
着陸地点を映し出すとそれを頼りに空を飛んだ
下に視線を落とすと、なだらかに曲がっている川が夕日を受けて光っている
(体中、埃っぽい……綺麗な水だし、ちょっと浴びて行こうかな)
そう思い、高度を落としして水面へと近付いた
透き通っていて川底まで良く見える
川の縁は水で削られた丸い石で覆われ、周囲は木々に囲まれていた
大き目の石の上に降りてスカウターを外す
戦闘服ジャケットとブーツを脱ぎ、側の岩の上に置いた
「冷たいかな」
アンダースーツと着ていた物を全てを脱いで水に飛び込む
静かな森の中に軽い水音が響いた
水から顔を出し、顔に掛かる髪をかき上げる
「冷たー……けど気持ち良いや」