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ドラゴンボール/ラディッツ

第13章 王子の子守り・前編


緩いカーブを描いた廊下を足早に進み、フリーザの部屋へ向かう
すれ違う人々が皆、自分達を見ていた
何か言われそうになるたびにラディッツが言葉を遮って何もしていないと繰り返す
船尾にある一際大きなドアが見えてくると顔を見合わせてからその前に立った
一瞬遅れてシュッと音を立ててドアが左右に開く

「うわっ!」

ドアのすぐ前に立っていたフリーザの顔を見てラディッツが声を上げた
自分も悲鳴を上げそうになり、口元を両手で覆うと一歩後ろへ下がる
だが、当のフリーザは笑顔で自分達を部屋に招き入れた

「お待ちしていましたよ。さあ、お入りなさい」

今のような反応をしては小言の一つや二つ言われるはずなのに
そう思いながら室内に入るとフリーザが口を開いた

「すみませんでしたね。緊急の任務なのです」
「は、はい。どういった任務でしょうか」
「簡単なことです。ベジータさんの医務室へ行ってください。すぐに分かりますよ」
「?……はっ」

そう返事をして踵を返すと入ったばかりの部屋を出る
背後でドアがしまる音を聞いてラディッツの方を見た

「何だろうね」
「分からん。行ってみるしかないな」
「だね」

またさっきのようにスカウター越しに大声を出されたら困る
2人はそう思い、小走りでほぼ反対側の位置にある医療室へと向かった
ベジータが入っている個室への廊下を曲がると、何故か戦闘員の姿が多く見える
ラディッツが一歩前に出るとその人垣の中に入っていった

「通るぞ」

そう声をかけて個室へと近付く
開けられたままのドアから中を覗くとベッドに座る人影が見えた

「……ベジータ?」

髪型でベジータだと分かったがその身体は小さい
やはり自分と同じ様になったかと思っていると彼がこちらに顔を向けた
服は既に子供用のものが着せられている
膝上までのアンダースーツを来ているせいか、妙に可愛らしく見えた
ベジータがじっと自分を見ると軽く顎を上げて口を開く

「ラディッツか。ここはどこだ」

大人の時よりも高圧的な態度を取っていた子供の頃の彼
ラディッツは懐かしさに目を細めながら答えた
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