第13章 王子の子守り・前編
テーブルに肘をつき、頬杖をして冷蔵を込みつめるミズナ
「見てても冷えないぞ」
「そうだけど……何分くらいで食べれる?」
「あと15分くらい」
「えー、お腹空いたよ」
「ここは厨房だ。何か作ってもらえ」
そう言い、ラディッツが料理人の方を指差した
それに対して首を振ると飲んでいたペットボトルから水を飲む
彼が横から手を伸ばすのを見て持っていたそれを渡した
空腹感に小さく息を吐いてテーブルに突っ伏し、ラディッツが水を飲むのを横目で見る
あと15分
それが今の自分にはとても長い時間に感じた
彼が作ったプリンが冷え固まるまで何をして時間を潰そうか
色々と考えているとスカウターの通信が入る僅かな音がした
こんな時に出撃命令かと思ったのと同時にフリーザの声が耳を貫く
『ミズナさん、ラディッツさん!今すぐ私の部屋へ来てくださいっ!』
「っ……!?ふ、フリーザ様?」
『良いですか、今すぐにです!』
耳が痛くなるほどの声量でそう言うと一方的に通信を切ってしまった
何が起きたのかと思いながらスカウターを外して左耳を摩る
ラディッツの方を見るとテーブルに倒れ、持っていたペットボトルは床に落ちていた
「だ、大丈夫?」
「……耳が痛い……」
「私も。でも、急いでるみたいだから行かないと」
「ああ」
そう言い、片手をテーブルについて身体を起こすとイスから腰を上げる
厨房のドアから廊下に出ると左耳を押えて蹲っている戦闘員や医療班の姿が見えた
スカウターの声が全回線になっていたのだろうか
皆が自分達に気付くと何をやらかしたんだという目で見てきた
「……何もしてないからな」
ラディッツがそう言い、こちらの手を引いて歩き出す
確かに3日前に任務を追えて母船に戻ってきてから何もしていない
ただ束の間の休みを普段通りに過ごしていただけだった
「何だろうね。かなり慌ててたみたいだけど……」
「さあな。とにかく、早く行かないとまた怒鳴られるぞ」
「うん」