第4章 廃れた公園と俺
今日は特に何かするってわけで此処に来たわけじゃない。なんとなく、太宰のあの話を朝ふいに思い出したら、此処に来たくなって来ただけ。
そして俺は、久しぶりにこの場所のペンキの剥げかけたベンチに腰掛け、どこともない景色を見渡して眺めた。秋の空と雲、秋の樹木の色、足元の枯葉、ゆるくふいている秋の風、少し遠い車と人の雑音。そういったものを感じながら眺めていると、急に読んだ太宰の文章を思い出した。
【窓外、庭の黒土ヲバサバサ這イズリマワッテイル醜キ秋ノ蝶ヲ見ル。並ハズレテ、タクマシキガ故二、死ナズ在リヌル。決シテ、ハカナキ態ニハ非ズと書かれてある。これを書きこんだときは、私は大変苦しかった。いつ書きこんだか、私は決して忘れない。けれども、今は言わない。】
急に太宰のこの文面を思い出したこともだが、俺は先日の思い出も同時に思い出していたのだ。
……………。
太宰の文の上記の文は、ああ書いてあった…が。この文について語るまえに。これを話すなら、俺は君との話を、君に話すことになる。太宰とは真逆の選択だけど。話すよ。君との先日の出来事の話しについて…君に話させてもらうよ。
好きなことや好きな食べ物がたくさん一緒で、趣味も気が合って、性格も低姿勢で自分を卑下して、コンプレックスまで俺と同じでもってて、自信もなく、褒められたい、認められたいって、承認欲求が強いところまで同じ。共通点がたくさんあった君と俺。
それで、君とは出会って話し始めて数時間喋っただけで。信じられないスピードでこんな俺と意気投合して、仲良くなれた。
お互いを男女だが、親友と呼ぶほどの存在に。
驚きだよね。
君と会ってからの4ヶ月は、いい思い出で、いっぱいで。君に何度も支えられたり、楽しい話し、2人の未来の話しなんかをたくさんしたりして、最近じゃあ恋人同士みたいだって。話したりしてたよね。よく…。親友を通り越してさぁ。大切だよ。大好きだよ。なんて、君は言ってたから。クズな俺が、クソ恥ずかしいセリフを勇気を振り絞って言わなきゃって、素直になって……俺も言ってた。