第4章 廃れた公園と俺
彼女はそんなことを言ってる俺の言葉を聞いたけど、俺の前からキエルつもりは全くないらしい。最後には「一松が必要だよ!大切な存在だよ。一松は自分のかたわれだよっ。半分なんだよっ。」なんて言われた。
俺はその時は答えがだせなかった。
彼女は、最後に、親友でいてほしいから、時間をかけて考えてほしい。決まったら返事ください。なんて言って。結局お互い電話を切った。
その日の夜だ。俺は悩み疲れ、ボーとする頭で気怠いココロと身体を動かし、風呂に入らないとな。なんて、今日は自宅の風呂のドアを開け。一歩風呂場の中に入ると静かな風呂場なのだが、バサバサっ!!コツンっ!コツンっ!なんて窓からへんな物音がして。窓をよく見てみると、デカい蛾が、秋の夜中、暗い窓の外を羽を必死にバタつかせながら飛び。窓から照らされるあかりに向かって飛び、冷たいガラス窓に何度もぶつかっていた。この光景が太宰の一文の庭の黒土をバサバサ這いずりまわっている醜き秋の蝶を見る。並はずれて、たくましきが故に、死なず在りぬる、決してはかなき態には非ず。の表現に俺は似ていると思った。そして、風呂場に立ち尽くした今の俺は、大変苦しい。俺は太宰が書いた文面を、実体験し、共有できた。と思った。俺はこの文の本当の太宰の意味をわかっているのかわからないけど、これは俺の考えで、そう思った日の出来事。そして忘れられない。決して忘れない日の思い出だ…。
それをこうして今、ベンチに座って思い出している……。
太宰の作品を読んで。
そして君との思い出にまで、太宰の作品が絡まることになるなんてね。思いもしなかったよ。数日前の俺は…。
話聞いてくれありがとうね。
聞くに耐えない話だった?
でも、これは君が知らない話だったでしょ。
どう感じた?
君と太宰の作品。ア、秋の話、俺の思い出の話。
その後の俺がだした答えは?って。
それは今は語らない。
そして…
…………………。
て、俺の中の君に話しかけたところで
意味なんてない…
それに、この話を君は知ることはない…。