第7章 紅玉の嫁入り
「バルバッド王と婚約!?」
「ちょっとぉ月ちゃん。声が大きいわよぉ」
私は紅玉とお茶をしていた。
今ではすっかり仲良くなり、定期的にお茶会をしている。たまに白龍や紅玉の従者の夏黄文、第一皇女の白瑛、白瑛の従者の青瞬などが参加し、とても賑やかになる。紅玉は彼らともともとあまり接点がなかった(もちろん夏黄文を除く)そうだが、お茶会をするようになって随分打ち解けていた。
本日はふたりだけのお茶会である。そんな中での紅玉の知らせだった。
「他国に嫁ぐってことでしょう?どうして紅玉さんが……。迷宮まで攻略してるじゃないですか!」
「お父様が決めたことだから……。私はそれに従うわ。煌にとって必要なことだもの。大丈夫よ、悪いことにはならないわ」
いつかはそういう日が来るってわかっていたことよ、と紅玉は言った。
政略結婚など歴史の中でもよくあることだ。特に王家の姫となれば当然だろう。
国民の税金で贅沢ができる代わりに、生涯国に尽くす。それが王族というものなのだ。
私だってわかっている。それでも、気持ちまで納得できるものではないのだ。
「本当はね」
紅玉はうっすらと笑って言う。
「一度でいいから恋をしてみたかった。だけどね、これでいいのよ」
国の役に立つことができるんですもの、と彼女は言った。
「……紅玉さん」
「なあに?」
「あなたがバルバッドに行くとき、私も着いていきます」
紅玉は目をぱちぱちとさせた。
「せめて、あなたの夫となる方がどのような方かこの目で確かめなければ、友達としてあなたを送り出すことなんてできませんから」
紅玉は力なく微笑んで「ありがとう」と言った。