第6章 皇子と皇女
煌帝国に来て数日、私は暇を持て余していた。
ジュダルはどこかに出かけてしまっているし、今日は白龍も用事があって鍛錬はできない。仕方ないので私はぶらぶらと城内を歩いていた。
いつもは雑用係らしく書類運びなどを手伝ったりするのだが、人はまばらで私ができる仕事なんてなさそうだった。城内の人にも白い髪のせいですぐに覚えられ(なんといっても黒髪の方が圧倒的に多いからだ)、すれ違うと挨拶してくれるようになっていた。
ただ、異国風の白い服を着た『神官』には絶対関わるなと言い含められていた。
金属器は隠しておけ、力を使うな、特に『神官』と『皇后』の前では何があっても金属器を出したり力を使うなとジュダルから言われた。そのため私はいつも金属器の髪留めを懐に隠して持っている。人前には絶対に出していない。
話を戻すと、今現在、私は暇である。あてもなく歩いていると、前方に女の子がいた。
私と同年代だろうと思われる女の子は、とても綺麗な服を着ていた。古すぎず新しすぎないオシャレな出で立ちである。赤く長い髪を頭の上で結い、豪奢な簪をひとつ差していて、遠目で見ても美少女然としていた。
ぼんやり見ていると女の子がこちらに気づいた。そのままスタスタと私の方に歩いてくる。
「あなた、ジュダルちゃんの雑用係の子よね」
彼女はいきなりそう言った。
「お時間頂けるかしらぁ?着いてきてちょうだい」
私に拒否権がなかったのは、言うまでもないだろう。