第6章 皇子と皇女
「おーい!白龍ー!白龍ー!」
「……何用か、神官殿」
私はまたしてもジュダルに連れ回されていた。
いや、これが仕事っていや仕事なんだけど。
そして、テンションMAXなジュダルに絡まれているのは煌帝国第四皇子の練白龍だ。彼は薙刀っぽい武器での鍛錬の最中らしかった。そんなことを歯牙にもかけず、ジュダルは白龍に話しかけている。
「神官殿、鍛錬の邪魔です」
「そんなめんどっちーことしないでさ、パーッと力手に入れたきゃ迷宮攻りゃ、」
「あなたの誘いはお断りしますと言っているでしょう」
ジュダルの言葉を白龍は見事に一刀両断した。できることなら拍手したいくらいだ(そんなことをすれば報復が怖いので大人しくしているが)。
「それで、そちらの方は?」
「ああ、コイツな。俺の雑用係」
「月と申します。よろしくお願いします」
ジュダルに任せておいたらまともに紹介してもらえなさそうだったので自分から名乗った。
白龍は目を細め、警戒するように小声で言った。
「『組織』、の者ですか」
「ちっげーよ。お れ の 雑用係だっつーの」
ジュダルの返答に毒気を抜かれたのか、白龍はぽかんとした顔をした。
私としては白龍の言った『組織』について気になる所だが、ツッコむ隙が見つからないまま話は進んでいく。
「でさ、お前魔力操作できるだろ。それをコイツに教えてやってくれよ」
「え、ちょ、なんでですか」
「コイツ魔力多いから有効活用。ついでに何でもいいから武芸も教えてやって。鍛錬の相手にでも使えばいいから」
「ちょ、待ってくださいって!やると言ってないでしょう!だいたい、魔力操作はほとんど感覚なんですから俺が教えられるとは思いません!」
「大丈夫大丈夫。コイツならたぶんできるって。お前はテキトーに教えてやればいいの」
「じゃ、よろしく~」と最後に言い残し、ジュダルは去っていった。
白龍ははあっと溜め息をついて私を見た。こちらとしては申し訳ない気持ちでいっぱいである。でも、どうしたら了承してもらえるだろうかと考えるあたり私もなかなかだ。
「……さっきも言った通り魔力操作、東洋では『気』と呼ばれる技は感覚です。人によって表現の仕方も違います。それでも、俺が教えていいのですか」
この皇子様は存外お人好しのようだ。
「よろしくお願いします!」
私はそう言って頭を下げた。
