第6章 皇子と皇女
じろり、と紅炎が私を見る。王の風格というかなんというかそういうものが滲み出ていて、思わず体が強張った。
「そ。コイツを俺の雑用係にするから。ある程度の自由がほしい)
「月、と申します。よろしく、お願いします」
緊張のあまり少し上擦った声が出てしまった。思い切り頭を下げる。
ふっと笑う気配がした。
「一応聞くが、神官ではないのか」
「言ったろ。俺の、雑用係だっつーの」
「そうか」と言って紅炎は息をついた。最初のときより、幾分か優しい気配だった。
「いいだろう。城の中なら自由にしていい。部屋はどうする?」
「あー確か俺の隣の部屋空いてたろ。そこでいいわ」
「ではそのようにしよう」
「あ、そういや言うの忘れてたけど、白龍借りていいか?コイツにある程度武芸仕込みてえから」
「それは俺に聞くことではないだろう。好きにしていい。本人に聞け」
「りょーかい」
話がまとまったようだ。行くぞ、とジュダルが私の袖を引っ張った。「ちょっと待って」と私は言って、紅炎に向き直った。
「あ、ありがとうございます!これからよろしくお願いします!!」
そう言うと紅炎は口元を緩めて笑った。
「精々励むといい」
「はい!」
ジュダルがぐいぐいと袖を引っ張るものだから、それに引きずられるように退出した。ジュダルはなんだかムスッとしている。自分の玩具を取られて拗ねているような、そんな感じ。
「さっさと来ないと置いてくからな」
「わかってるよ」
先にどんどん行こうとするジュダルを私は追いかけた。