第5章 煌帝国へ
煌帝国には絨毯で移動した。
町を越え砂漠を越えて、絨毯は素晴らしい速さで飛んでいく。
途中通り過ぎていく町や村は、だんだんと趣を変えていく。
「国境を越えたぞ」
ジュダルが言った。
「煌帝国は広いからなぁ。首都まではまだ時間かかるぞ」
「ねえ、ちょっと待ってくんない?」
私が言うと、ジュダルは露骨に嫌そうな顔をして「何だよ」と言った。
「この服のままじゃ目立つ。どっか市場からでもこの国の服を買った方がいいんじゃない?」
「あ、それもそっか」
今気づきましたというような顔だ。
ぽつぽつと見える民家は東洋風、時たま見かける屋敷といってもいいような建物は中華風である。
対し、ついこの間まで砂漠のオアシス都市に住んでいた私はアラビア風の装いだ。確実に目立つ。
「俺はいつもこうだからいいけど、城じゃお前は目立つもんな」
ん?何か聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ?
「……城?」
「言ってなかったっけ?俺はこの煌帝国のマギであり神官様だ。その俺の雑用係として働くんだから、身なりはきちんとしないとな」
「……」
溜め息をつきそうになるのを必死で堪えた。
前途は多難なようである。