第5章 煌帝国へ
「おい、ルシア。煌帝国に行くぞ」
「は?」
修行(という名の命がけ☆ジュダルとの鬼ごっこ)と仕事(ニートダメ、絶対)の日々が続いていたなか、ジュダルは突然そう言った。
「いや何で?仕事あるんだけど」
「知らねーよ。お前が勝手に始めたんじゃねぇか。金はあるっつったろ」
「自立は大切。ずっとタダ食いじゃ悪いだろ。私の精神的に」
「あっそう」
何も興味ありませんという感じにジュダルは言った。何かムカツく。
「とにかく、煌帝国に連れてく。そんなに仕事してえなら、雑用係でも何でもさせるから」
「ちょっと待て。期間はどれくらいのつもりなの」
「ここに戻るつもりはねーな」
あーハイそうですか……ってなわけないだろ!!
「やっとここに慣れたばっかなのに!!」
「あーハイハイそうですか」
「聞く気ねえだろお前!!」
ああ、怒りで前が滲んできた。《前》の世界にいたときだってこんなに怒ったことはなかったのに。
もともと可愛らしい女言葉なんて使ってなかったが、以前より口が悪くなった気がする。いや、確実に悪くなった。
そんな私をジュダルはじろりと冷めた目で見た。本能的に背筋が震える。
「お前に拒否権があると思ってんの」
疑問系ですらない。私はジュダルに適わない。圧倒的な力の差があった。だいたい、ジュダルに拾われた時点で力関係など決まっている。
せめてもの抵抗に、私は溜め息をついた。
「わかってるよ」
そう言うのが、今の精一杯だった。