第3章 新しい生活
服を買い、生活必需品を買い揃えて、そのまま帰るのもなんだからと、しばらく店を物色していた。
店には様々な武器、装飾品が並んでいる。それらを眺めながら店を冷やかしていた。途中、護身用にと短剣を買ってもらい、帰路につこうとしたときだった。
「あ、これ綺麗!」
並んでいたのは髪飾りだ。どれも貴金属でできていて、高価そうなものばかりだ。
赤、黄、緑、青などの玉がついているものもあり、実に煌びやかである。
もちろん買うつもりなどまったくないので、目の保養にと勧められるままに手に取っていく。
あれも綺麗これも綺麗と、商人と談笑しながら商品を眺めていたときだった。
後ろからひょいと手が伸びてきて、金製の赤い玉のついた髪留めを取った。
「これをくれ」
「はいよ。五金貨だ」
髪留めを買ったのはジュダルだった。
まあイケメンだし、このファンタジーな世界観を見ると、恋人の二人や三人いてもおかしくないかもしれない。
そうして全ての買い物を済ませ、帰路についた。
時間はあっという間に過ぎて、空が赤く染まっていた。
「おい」
後ろから声をかけられ、振り向くと同時に何か投げられた。咄嗟にそれを受け取る。
「お前にやるよ」
それは先程ジュダルが買った髪留めだった。
「後々必要になるかもしれねえからなぁ。常に身につけとけ」
拒否を許さない、そんな態度だった。逆らえず私はこくりと頷く。
「勘違いすんなよ」
鋭く冷たい真紅の瞳が私を貫いた。
「お前は俺のモノだ。俺を楽しませるための玩具。俺の暇つぶしのための道具。そのためにお前に力をやる」
ぞくりと背筋が震えた。圧倒的な威圧感。重たくのしかかるプレッシャー。嫌な汗が背中を伝わる。足は今にもガクガクと震えだしそうだ。
「逆らおうとか思うなよ。死にたくなきゃな。ま、せーぜー俺を楽しませろ」
ニヤリと口元を吊り上げてジュダルは笑った。それはあまりにも黒い黒い笑みだった。