第1章 珠光小茄子の茶器・ 家康
「失礼します」
茶室に入ると、すでに全員揃っていた
「 様、とてもお綺麗です。 お着物似合ってますよ」
エンジェルスマイルが微笑む
眩し過ぎて直視出来ない
「ほう、黄色の着物か。家康が見立てたのか?」
「はい、家康に選んでもらいました。よく分かりましたね?」
「やつの好みはよく知っておる」
「……ボーイズラブ」
「何か言ったか?」
「何も言いません。」
お茶が静かに点てられていく
作法など全く 分からないので隣の政宗を見て真似る
っていうか、いつまで時間がかかるんだろう
もう20分近く経つがまだお茶は自分に回って来ない
正座したままの足はもう感覚を失っていた
「あのぉ、足が痛いんですけど、伸ばしても良いですか?」
秀吉が困った顔をする
「冗談だよな?」
「クックック、本気のようだぞ。小娘はただ座っていることも難しいようだ。まるで南蛮の姫君だな。」
「よい。好きにしろ」
緊張から解放され足を伸ばした。
血が通い始めるように感覚が戻るが、少しでも動くとシビレが伝わる
政宗がニヤニヤしながら足をぎゅっと掴んだ
「ウギャァァァア~!」
大きな叫び声を上げる
ゴツン。
秀吉さんからゲンコツを落とされた
地味に痛い
信長様がジロリとこちらを一瞬見た
政宗は知らんぷりをしていたが、私を見てニヤッと笑った
(この怨み、必ず果たす!)
政宗をにらみながら決意した
やっと、お茶が配られ始める
(えっと、三回で飲み干すんだっけ? 結構たくさん入ってるな)
ゆっくりとお椀を回して口づける
大きく一口すする
「ゴホゴホ、ウゲっ。何これ、ニガイ~」
一人で大騒ぎしていると、今度は信長様から扇で頭を叩かれた
「お前は礼儀も作法も知らんのか。」
面白そうに笑っているようだ
「家康、こやつに茶道を指南せよ。来週また茶会を開く。に茶を立せる」
はぁぁぁぁ
家康の深いため息が小さな茶室に響いた